「栗が実ったから拾いにおいで〜」
今年も山のおじさんからお誘いを受けました。
バスに乗って玉川町の山奥までやってきた年長さん。
空気は澄み渡り、山里はすっかり秋の趣きです。
栗拾いができる山はこの坂道を登ったところです。
「あ、ひがんばな!」
「ようこそ」とみどりっ子に笑顔でほほ笑みかけているようです。
ふと、目を横にやると…
「わ〜、くも!」
ドキッ!
ご覧のとおり、少し歩いただけで色々なものに出会える山道です。
「ちょうちょが頭にとまったよ」
「カマキリや!」
「あ、でも死んどる…」「かわいそう」
「トンネルみたい〜」
緑に覆われた坂道にうきうき心が躍ります。
「栗拾いの山、どこかなどこかな」「サルに採られていないといいな」
「はい、ここですよ」
「さあ、みんな〜いっぱい拾ってね!」
斜面いっぱいに栗、栗、栗!
足の踏み場に困るくらい!
「踏んだら大変」「おっとっとー」
「わあ〜」
坂道は走り出すと止まりません。
「転ぶとお尻にイガ栗が刺さるよ。気をつけて」
「この栗にしようかな」
鋭く光るイガに恐る恐る・・・
栗拾いを前に採り方など説明を受けていましたが、
最初はなかなか一筋縄にはいきません。
みんな口を一文字にイガ栗と格闘中。
足とスコップを使って・・・
「でてこい、でてこい」
「バスのおじちゃん、手伝って」
「やったー、とれた」
「このかごに入れてね」
少しすれば要領を得て…
次から次へと採れる採れる!
「うーん、おもたい」
「スコップに山盛り。わあ、こぼれそう」
ふと、目を上にやると・・・「あ、栗や〜」「この木から落ちてきたんやね」
「あっちはきみどりでこっちは茶色」
色の違いも見ることができました。
「あ、カマキリ!」「どこ?」「あっちあっち」
栗の木の下では虫探しだってできるんです。
「つかまえた」
「ほら、ぼくもカマキリみつけたよ」「わあ、いいなあ」
いっぱい動いてお腹ぺこぺこ。この辺りでお昼としましょう。
「いただきまーす!」
「たまねぎがいっぱい」
さわやかな秋の山で食べるお弁当は格別の味です。
愛情あふれる手作り弁当にみんなお箸が進みます。
「柿もいっぱいできとるけん、採ってかえりな」
と、山のおじさんが言ってくれました。
ほら、橙色に熟れた柿が鈴なりに実をつけています。
くるくるまわして、ぽん! 「みて、とれたよ」
実りの秋を満喫です。
こちらでは笹舟作りに挑戦。
「ねえ先生、どうやってつくるの?」
「えっと、ここを折って切れ目を入れて…」
「できた。さあ、浮かべてみよう」
ちょんと指で弾くと「やったー、うごいた」
自然の遊びはとっても魅力的。
幼稚園に帰る時間になりました。
おじさんにお礼を言って帰ります。
「ありがとうございました」
園に帰って、まずはとれたての柿をご賞味です。
「ぼく、柿ほしい!」「わたしもー」
「うん、おいしい」「おかわり〜」
素朴でやさしい味わいです。
「この柿、種がいっぱいやね」「種、持って帰ってお庭に植えようかな」
栗はひとり20個数えておうちに持って帰ります。
こうしたなかから数の概念も覚えていきます。
「おいしそうなのを選んで入れてね」
「大きい栗みつけた、これにしよう」「あ、これは穴が空いとる…」
そして、次の日。
「ほ〜ら、栗が湯がけたよ。どうぞ!」
もちろん、年中・年少・うさぎぐみさんにもおすそわけ。
「いただきまーす」
水筒を持ってきてお茶を飲み飲み、次々と猛然と食べる子の姿も見られました。
売れに売れて、たちまちこのとおり。
最後に、栗で汚れた床も率先してお掃除してくれましたよ。
「ほ〜ら、ぴっかぴか!」
栗の木さん、おいしい恵みをありがとう。
copyright©Midori Kindergarten,Ehime,Japan 2004